家計支出の中で大きな割合を子供の教育費。この資金を捻出する方法を8つご紹介します!「収入が少ないから」「思わぬ出費で貯蓄に失敗したから」こんな理由で子どもを大学へ行かせることを諦める必要はありません。家計を見直してコツコツと貯蓄することに成功できれば良いのですが、仮に貯蓄に失敗したとしても諦める必要はありません。
まずは普通に貯めていく方法をご紹介します。子どもが小さく、大学入学までにまだ時間がある場合は少しずつでも教育資金を貯蓄していくことを考えましょう。子どもがどんな大学(専門学校)に行くのかはわからないので、一般的な進学先の中で最もお金がかかるケースである「私立理系1人暮らし」を最大目標にしてみるといいと思います。入学金、授業料、下宿費用、仕送りを合計すると、4年間で卒業できたとして700万~1,000万円必要になります。したがって1,000万円を貯めることを目標として一度計算してみてください。15年間で1,000万円貯めるためには毎年66.7万円。月々5~6万円です。子ども1人当たりの金額ですから、子どもの数だけ増えていきます。ちなみに、私立の医療系だとさらに高くなります。何と3000~5,000万円も必要になります。
貯蓄
一般的に教育費が最もかかるのは高校3年生から大学入学時とされています。教育資金は子供が小学3年生になるまでが貯め時です。小学3年生以降は少しずつ教育費が増えていくため、貯めるペースが遅くなっていきます。収入から貯蓄にまわすのは難しいという場合は児童手当を頼る方法もあります。児童手当に手をつけずそのまま貯蓄すると、所得制限のない家庭であれば15歳までに約200万円貯まる計算になります。
児童手当は子供が0歳~3歳未満の期間は1カ月当たり15,000円が支給されます。3歳~小学校卒業までは第1子と第2子は月額10,000円、第3子以降は月額15,000の支給となります。中学生の期間は一律月額10,000が支給されます。誕生月や子供の数にもよりますが、おおよそ中学校卒業までの期間で200万円前後は支給される計算になります。所得制限があるので年収960万円以上の場合は0歳~中学校卒業まで一律月額5,000円です。支給されるタイミングは2月、6月、10月でそれぞれ前月までの手当が支給されます。
学資保険(こども保険)
教育費用を貯める王道ともいえる学資保険(こども保険)。正確には“学資保険”は教育資金作りを目的とした積み立て+親の死亡に備えるための保険で、“こども保険”はこどものケガや病気などの保障に積み立て効果を加えたものだそうだ。最近ではどちらも一緒にして学資保険と呼ぶことが多いですね。学資保険でお金を貯めるなら各保険会社の利回りや返戻率を調べれば良いのですが、加入する子供の年齢によって若干数字が違うので、少しでも増やしたいなら年齢別に各社の資料を取り寄せるくらいの細かさがあってもいいかもしれません。年齢にもよりますが、学資保険で利回りがいいのはソニー生命、日本生命、アフラックなどが挙げられます。児童手当には手を付けないという覚悟があるのであれば、その分を学資保険に回せば単純な預金よりもお金は増やせます。
ジュニアNISA
2016年から始まるジュニアNISAを使って教育資金を貯められたらかっこいいですね!これはNISA(少額投資非課税制度)の子ども版です。0歳~19歳の子どもの親権者が子ども名義で口座を開設し、お金を運用します。ジュニアNISAを使ってお金を運用することは悪いことではないのですが、将来の教育費用を全てこの運用に任せることはやめた方がいいかもしれません。
成人版NISAとの違い
NISAとジュニアNISAは対象年齢以外にもいくつか異なる点があります。NISAは投資対象商品の非課税購入額は毎年120万円までですが、ジュニアNISAは毎年80万円までです。また、NISAでは制限がない“口座からの払い出し”についてジュニアNISAの場合は18歳までは制限があります。したがって子どもが18歳になる前に使う予定があるお金はジュニアNISAでの投資は控えてください。
家計のやりくりだけでは限界もあります。頑張って貯めたけど、どうしても大学へ行かせる資金が貯まらないこともあるでしょう。そんな時に誰か助けてくれる人はいないでしょうか?
教育資金の一括贈与は、祖父母などが30歳未満の孫などに1,500万円までの教育資金を非課税で贈与できる制度です。通常の贈与であれば年間110万円を超えると、超えた金額に対して贈与税が課せられます。贈与税は10%から最大55%と高額で、教育資金の一括贈与の制度を使わずに祖父母が孫に一括で1,500万円を贈与した場合366万円も贈与税がかかります。自分で計算してみて、何回も確かめてしまうくらい高い税金です。
したがって、こんなにも税金面で優遇される制度があるのであれば使わない手はありません。65歳以上の世帯の中で貯蓄額が2,000万円を上回っている割合は何と40.4%だそうです。そして4000万円以上でも16.1%にのぼります。頼れるのであれば、かわいい孫のためです。1,500万とは言いませんが100万円でも200万円でも援助してもらえたら助かりますね。仮に200万円の援助(贈与)をしてもらった場合、教育資金の一括贈与を使うと非課税ですが、使わなかった場合9万円の贈与税がかかります。9万円あれば受験前に冬期講習も余裕で行けますね。
平成27年4月からは「結婚・子育て資金の一括贈与」も始まり、子どもや孫の幼稚園・保育園代の贈与も非課税となりました。
給付型奨学金
親には頼れない、頼りたくない!という人には大学や自治体、民間企業に頼ってみてはどうでしょうか。その名も「給付型奨学金」です。給付型奨学金は返済する必要がない奨学金です。つまりお金をもらうことができるのです。名称は各機関によって異なりますので、返済不要の“給付型”奨学金なのか、返済が必要な“貸与型”奨学金なのかは内容をよく確認する必要があります。
給付型奨学金は各大学や自治体が提示する条件満たした上で、審査を通過すれば援助を受けられる仕組みです。全般的に給付金額が大きいものは募集人数も少なくなっていますが、中には給付額も大きい上に募集も1,000人を超えるような募集をしている機関もあります。綿密に調べることと、複数の機関に応募して審査を通過したものの中から最も有利なものを選ぶと良いでしょう。民間企業でも給付型奨学金の制度を設けている会社は多数あります。優秀だけれども経済的理由で修学が困難な学生や東日本大震災で被災した学生など対象者は様々です。対象者を大学生・大学院生としているものが大半ですが、高校生向けの給付型奨学金もあります。
補足:高校の授業料について
平成22年4月から始まった「公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度」が一部改正され、平成26年4月以降に高校に入学する生徒から「高等学校等就学支援金制度」となりました。平成26年3月以前から在学している生徒に関しては引き続き旧制度が適用されます。所得制限も設けられた新制度の内容を整理しておきましょう。
新制度の所得に関する条件は、学生の保護者等(夫婦共働きの場合は合算額)の住民税所得割額が30万4200円未満(片働きで子どもが高校生1人と中学生1人の世帯の例で年収910万円未満)であることです。住民税所得割額を基準としているため、家族構成などが異なると年収上限なども異なってきます。
他の変更点としては、私立高校などに通っていて世帯年収が低い場合には旧制度よりも支給額が増えるということです。申請手続きは保護者が行いますが、支給先は学校になります。
無償化されたのは授業料のみで、入学金や教科書代、授業で購入する物品は今まで通り負担する必要があります。それでも教育費の負担が減ったということは嬉しいことですよね。
自分で貯めることができず、援助を受けることもできなかった場合はお金を借りることを検討してみましょう。返済するのは子どもの場合が多いかと思います。
貸与型奨学金
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度には、利息の付かない第一種奨学金と利息の付く第二種奨学金があります。第一種奨学金の選考基準は第二種に比べて厳しく、「経済的理由により著しく修学困難な者」とされています。第二種奨学金の選考は少しゆるくなっています。利息は年利3%を上限とされていて、平成27年9月末の利率固定方式で年0.63%、利率見直し方式では0.10%と極めて低い水準です。利息は在学中には発生しません。また、入学時に一度だけ借りることができる「入学時特別増額貸与奨学金」という利息がつく奨学金制度もあります。
教育一般貸付
日本学生支援機構の奨学金に続いて低い金利でお金を借りることができるのが国の教育ローン、「教育一般貸付」です。H27年10月現在の金利は年2.15%と奨学金に比べると高いのですが、入学前から借りることができるところが大きなメリットです。また、固定金利なので返済計画を立てやすいということもあります。通常の教育一般貸付の借り入れ可能額は最高350万円です。海外留学資金の場合は450万円まで借りることができます。さらに、前述の日本学生支援機構の奨学金と併用することもできます。
教育一般貸付はその他の制度よりも条件がゆるくなっていて、世帯年収がある程度高くても利用することができます。利用できる世帯年収の上限は扶養している子どもの人数によって異なります。子ども2人の場合で世帯年収の上限は890万円、3人であれば990万円となっています。一定の条件を満たせば子どもが1人や2人の場合でも上限が990万円に緩和される制度もあります。
参考:海外の奨学金制度の利用状況について
日本と海外では奨学金を使う割合はどれくらい違うのでしょうか?アメリカでは平成23~24年度の奨学金受給率は47.6%です。イギリスもほぼ同じで48.7%です(平成25~26年度)。受給率が高い国はオランダで76%にもなります(平成26~27年度)。逆にイタリアやスイスは少なく、それぞれ7.95%、7.2%となっています。海外を見てみると、そもそも奨学金制度自体が不要な国もあります。大学生の授業料が無償の国です。オーストラリア、ギリシャ、スウェーデン、ノルウェー、ドイツなどは授業料が無償です。アメリカも一部の州では無償化を行っています。子どもの教育に対して国が力を入れていることがわかりますね。
子どもの教育費を貯める方法もたくさんあり、できれば頑張って貯蓄をしたいところです。それでも目標額に達しない場合は有利な税制を使って親に援助をしてもらう方法、各種機関に給付金をもらう方法もあります。それもできない場合は無利息や安い利息で借りる奨学金制度、国の教育ローンの活用という方法もあります。子どもの教育のためであればできる限り助けてあげたいですよね。様々な方法があるので、綿密に調べて自分に最も有利な方法を考えてみてください。そんなことを考えなくても授業料無償化になる日が来るといいですね。