払いすぎた税金を還付されることがあります。サラリーマンであれば毎年年末調整で申告を行っていると思いますが、年末調整で申告しきれない所得控除もあります。日々の生活で少しだけ意識をするだけで3月に還付金がもらえるなら、やらない手はありません。家計を助ける所得控除をご紹介します。今回は年末調整で申告可能な所得控除をピックアップします。
所得控除のうち、確定申告をしなくても年末調整で申告と還付が完了するのは、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障害者控除・寡婦(寡夫)控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・基礎控除です。会社に提出する書類に正しく記入をしておけば計算してもらえますが、見落としがないか確認してください。
社会保険料控除は、本人および本人と生計を同じにしている配偶者や親族の負担した社会保険料全額に対して適用される所得控除です。控除の対象となる社会保険料の一部抜粋です。
・健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料
・国民健康保険の保険料または国民健康保険税
・介護保険法の規定による介護保険料
・雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
・厚生年金基金の加入員として負担する掛金
・公務員共済組合法、私立学校教職員共済法等の規定による掛金
・労災保険の特別加入者が負担する保険料
これらのほとんどは、サラリーマンの場合給与から既に差し引かれているため会社が計算してくれるはずです。ただし、国民年金基金など自営業の人が支払う社会保険料は確定申告をする必要があります。
生命保険料控除は平成24年1月1日に改正があったため、保険を契約した時期によって控除の額が異なります。改正前は2種類の保険料控除でしたが、改正後は3種類となり合計の控除額も増えました。国税庁では平成24年1月1日以降に契約した保険を新契約、それよりも前に契約した保険を旧契約と表現しています。
新契約の保険料控除①新生命保険料控除
平成24年1月1日以後に締結した次の保険契約の保険料を新生命保険料と言います。対象となる保険金等の受取人の全てを申告者またはその配偶者や親族とするものです。
新生命保険料の控除
・生命保険会社や共済組合等と契約した生存または死亡保険契約の保険料
・確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約の掛金
新契約の保険料控除②介護医療保険料控除
これは改正により新しくできた保険料控除です。対象となるのは以下の契約です。
・生命保険会社や共済組合等と契約した保険のうち、医療費の支払い事由に該当した場合に保険金等が支払われる保険契約
入院に関わる保険は旧制度では死亡保険と同様の取り扱いでしたが、分離されました。ただし、傷害保険契約・財形貯蓄契約・財形住宅貯蓄契約・財形年金貯蓄契約などは該当しないので注意です。
新契約の保険料控除③新個人年金保険料控除
対象となる保険契約等の主なものは平成24年1月1日以後に締結した契約のうち年金(退職年金を除きます。)を給付する定めのある保険契約です。ただし以下の要件があります。
・年金の受取人は、保険料または保険料の払込みをする人か、その配偶者となっている契約であること。
・保険料は年金の支払いを受けるまでに10年以上の期間にわたって、定期的に支払う契約であること。
・年金の支払いは年金受取人の年齢が60歳になってから支払うとされていて、年金を受け取る期間が10年以上であること。
新契約の控除額
新契約はそれぞれ年間の保険料が8万円を超える場合4万円の控除となります。8万円未満の場合は保険料に応じて控除額が決められています。3種類それぞれ計算した上で合算できるので、控除額は最大12万円となります。
旧契約の保険料控除①旧生命保険料控除
旧生命保険料控除は新生命保険料控除と介護医療保険料控除を合わせた内容となっており、以下の保険契約が対象となります。
・生命保険会社や共済組合等と契約した生存または死亡保険契約の保険料
・生命保険会社、損害保険会社等と契約した病気やケガなどが原因として保険金等が支払われる保険契約
・確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約の掛金
旧契約の保険料控除②旧個人年金保険料控除
旧個人年金保険料控除も、要件は新年金保険料控除と同様です。異なる点は控除できる額となります。
旧契約の控除額
旧契約はそれぞれ年間の保険料が10万円を超える場合5万円の控除となります。10万円未満の場合は保険料に応じて控除額が決められています。2種類それぞれ計算した上で合算し、最大の控除額は10万円となります。
加入している保険がどれに該当するのかわからない場合は保険会社から送付される控除証明書に記載されていますので参考にしてください。また、新契約と旧契約の両方がある場合は組み合わせることも可能ですし、どちらか片方を選択することも可能となります。したがって有利な方法を選ぶと控除額も増えることになります。
損害保険のうち地震損害の保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除と言います。控除の対象となる地震保険は、申告者本人および本人と生計が同じの配偶者や親族が所有している家屋で、居住用に使用していることです。さらに地震・噴火または津波を原因とする火災・損壊等による損害をてん補するために保険金が支払われるものに限られます。
地震保険料控除の控除額
地震保険料控除の控除額は、その年に支払った保険料の金額に応じて計算した金額となります。年間の地震保険料が5万円まではその全額で、5万円を超える場合は5万円が控除額となります。